【利回り型ステーブルコイン完全解説】価格安定と利息収益を同時に実現する仕組みとリスク

米ドルに価格が連動しているのに、保有しているだけで年率5〜20%の収益が発生するトークンが存在する。銀行預金でも投資信託でもなく、ブロックチェーン上で動くプロトコルが収益を自動分配する。これが利回り型ステーブルコインだ。ただし、その収益には必ず対応するリスクがあり、収益源が何かによってリスクの性質はまったく異なる。本記事では仕組み・収益源・実際のプロジェクト・規制リスクまでを体系的に解説する。

目次

結論:利回り型ステーブルコインを一言で言うと

「価格をドルに連動させながら、国債運用・貸出金利・デリバティブ収益などをトークン保有者に自動分配する仕組みを内蔵したステーブルコイン」だ。

従来のUSDCやTetherは価格安定だけを目的として設計されており、保有しても収益は発生しない。一方で、その裏付けとなるドルは発行体が米国短期国債などで運用しており、収益はすべて発行体に帰属していた。利回り型ステーブルコインは、この構造を逆転させる。発行体が得ていた運用収益をオンチェーンの仕組みでトークン保有者に直接還元する。

収益源は大きく4種類に分類できる。

種類収益の原資代表プロジェクト
国債担保型米国短期国債(T-ビル)の利回りsDAI、USDY、BUIDL
貸出収益型レンディングプロトコルの借り手が払う金利AaveのaUSDC
デリバティブ型無期限先物のファンディングレート差益EthenaのUSDe
アルゴリズム型プロトコル内のインセンティブ設計旧TerraのUST(2022年崩壊)

どの収益源を採用しているかで、リスクの性質と収益の持続可能性がまったく変わる。これを理解せずに「利回りが高い」だけで選ぶと、TerraのUST崩壊と同様の結果を招く可能性がある。


用語の意味:初心者が混乱するポイントを整理する

利回り型ステーブルコイン(Yield-Bearing Stablecoin)とは

価格が米ドルなど法定通貨に連動しながら、保有自体から収益が発生するトークンのことだ。「ステーブルコイン」という名称が示すとおり、価格変動のリスクを抑えながら運用収益を得るという、これまでDeFiでは両立が難しかった特性を実現している。

利回りはどこから来るのか

利回り型ステーブルコインで最初に確認すべきは「収益の原資が何か」という点だ。

  • 国債型:発行体がユーザーのドルをT-ビル(米財務省短期証券)で運用し、得た利回りをトークン保有者に分配する
  • 貸出型:ユーザーがAaveのようなレンディングプロトコルに資産を預けると、借り手から受け取る金利が自動的に元本に加算される
  • デリバティブ型:ETHなどを担保にしながら同時に先物ショートを建て、ロング側が支払うファンディングレートを収益として取得する
  • アルゴリズム型:担保なしにプロトコルのトークン発行・焼却で価格とインセンティブを制御するが、これはUSTの崩壊で実質的に否定された

リベーシングとトークン価値上昇の違い

利回りの表現方式は2種類ある。

リベーシング方式は、保有トークンの枚数が自動的に増えることで収益を表現する。stETHが代表例で、ETHのステーキング報酬に応じて保有枚数が増加する。価格は常に1ドル付近に維持される。

**価値上昇方式(アキュムレーティング)**は、トークンの枚数は変わらず、1トークンあたりの価値が上昇していく。wstETHやsDAIがこの形式を採用しており、DeFiの他のプロトコルと組み合わせやすい設計になっている。

ファンディングレートとは

無期限先物取引において、市場のポジション偏りを調整するための定期的な手数料だ。市場が強気でロングポジションが過剰になると、ロング保有者がショート保有者に手数料を支払う。Ethenaはこのショート側のキャッシュフローをUSDe保有者への収益源にしている。強気相場では高収益になるが、逆転時のリスクは後述する。


なぜ生まれたのか:従来のステーブルコインが抱えていた構造的矛盾

Circleが1年で15億ドルを「合法的に」抜き取っていた

USDCを発行するCircleは、ユーザーから預かったドルを米国短期国債で運用している。2023年の金利環境(政策金利5.25〜5.5%)では、この運用で発生した収益は年間で15億ドルを超えた。しかしUSDC保有者に支払われた利息はゼロだった。

これは法律違反ではない。USDCの利用規約の範囲内だ。しかし、DeFiコミュニティからすると「ユーザーが無担保でCircleに貸付けているのと同じ構造」に見える。

同様に、Tetherも2023年に約62億ドルの純利益を計上している。この収益の多くは、ユーザーから預かったドルをT-ビル・金・BTC等で運用して得たものだ。USDT保有者への還元は存在しない。

この構造的矛盾に気づいたDeFi開発者たちが、「発行体が独占していた運用収益をオンチェーンでユーザーに還元できるはずだ」という発想で利回り型ステーブルコインの開発を始めた。

技術的な前提条件が2021〜2023年に揃った

利回り型ステーブルコインが2023年以降に急速に普及した背景には、それ以前に整備されたDeFiインフラがある。

Aave・Compoundの成熟によってオンチェーンの貸出金利が安定的に形成された。借り手の需要に基づいたオンチェーン金利が市場価格として機能するようになったことで、「透明性のある収益源」が生まれた。

Lido・RocketPoolの普及でETHのステーキング収益がstETHというトークンとして流通し、「収益を持ち運べる仕組み」の概念が広まった。stETHはその後DeFiの担保資産として広く使われるようになり、「利回りがつく資産を担保にする」という設計パターンが定着した。

RWA(リアルワールドアセット)トークン化の進展によって、オフチェーンの国債収益をオンチェーンのトークンに反映させるインフラが整った。法的枠組みの整備とオラクル技術の成熟が組み合わさり、国債担保型ステーブルコインの発行が現実的になった。

これらの技術が揃ったことと、2022〜2023年の高金利環境が重なり、利回り型ステーブルコインへの需要と供給が同時に拡大した。


なぜ重要なのか:投資家・市場・国家への影響

投資家にとって:DeFiの参入障壁を下げる

これまで暗号資産で収益を得ようとすると、流動性提供(LP)でのインパーマネントロスや、複数プロトコルをまたぐ複雑な操作が必要だった。利回り型ステーブルコインは「保有するだけで収益が発生する」という構造のため、DeFiの操作に不慣れな資産家層・機関投資家が参入する際の入口になっている。

機関投資家にとっては実質的にオンチェーンのマネーマーケットファンド(MMF)だ。ブラックロックが2024年3月にEthereum上でBUIDLファンドを展開したのは、この需要を明確に意識した動きだ。BUIDLはT-ビルを裏付けとし、保有者に日次で収益を分配するが、ブロックチェーン上で24時間365日取引可能という点が従来のMMFとの差別化点になっている。

市場構造への影響:DeFiのインセンティブ設計が変わる

従来のDeFiプロトコルは流動性を引き付けるために高いガバナンストークン報酬を提供していた。これは新規トークンの発行による希薄化で賄われており、持続不可能だという批判が絶えなかった。

利回り型ステーブルコインが流動性プールの主要資産になると、プロトコルがトークン報酬で追加インセンティブを提供しなくても資産が滞留するようになる。ステーブルコイン自体がすでに実収益を生み出しているためだ。これによりCurveやAaveなどの主要プロトコルのトークノミクス設計に変化が生じている。

また、利回り型ステーブルコインが普及すると、DeFiの「利回りの比較対象」が変わる。これまでは「ガバナンストークン報酬込みで年率●%」という比較がされていたが、「国債利回り(リスクフリーレート)と比べてどれだけ高いか」という比較軸に移行しつつある。これはDeFiの金融としての成熟を意味する。

国家・規制当局にとって:主権通貨の代替インフラになるリスク

米国財務省はすでにTetherがT-ビルの大口購入者であることを把握しており、ステーブルコイン発行体が米国債市場に無視できない影響力を持ち始めている現実を認識している。

利回り型ステーブルコインはさらに踏み込んだ問題を提起する。国債の利回りをオンチェーンで世界中のユーザーに分配するという行為は、「民間企業が国家の資金調達機構を媒介してグローバルに利息を配る」という構造になる。これは銀行免許も証券業免許も持たない事業体が、従来は規制対象だった金融行為を行うことを意味し、SEC・FRB・財務省がそれぞれの立場から規制の必要性を論じている。

ドル安定を望む米国政府にとっては、利回り型ドルステーブルコインのグローバル普及はドル覇権の延長にもなり得る一方で、規制の管轄外に置かれることへの懸念もある。この両義性が規制の方向性を複雑にしている。


どう使われているのか:実際のプロジェクトと運用例

sDAI(SparkProtocol / MakerDAO)

MakerDAOが2023年8月に提供を開始した利回り型DAIだ。ユーザーがDAIをDSR(DAI Savings Rate)コントラクトに預けると、sDAIが発行される。

収益源はMakerDAOが保有する国債ポジションとAaveなどへの貸出収益だ。MakerDAOは2023年時点でT-ビルへの大規模投資を実施しており、その収益の一部がsDAI保有者に還元される仕組みになっている。

年率は金利環境と連動して変動し、2023〜2024年の高金利期には5〜8%程度が設定された。スマートコントラクトは複数回の監査を経ており、DeFiの中では信頼性の高いプロトコルの一つとして機能している。

DeFi上での使い勝手が良い理由は、sDAIが価値上昇型(アキュムレーティング)のトークン設計になっているため、他のプロトコルで担保として利用しながら同時に利回りを得続けられる点にある。

USDe(Ethena)

2024年2月に本格展開したデリバティブ戦略型ステーブルコインで、発行残高が急拡大した注目プロジェクトだ。

仕組みは以下のとおりだ。ユーザーがETH(またはstETH)を担保として預けると、EthenaはそのETHと同額の無期限先物ショートポジションをBybitやOKXなどのCEXで建てる。これによりETHの価格変動がヘッジされ、担保の実質価値が1ドル相当に安定する。そして、ロング側(ETHの強気筋)がショート側に支払うファンディングレートがプロトコルの収益になり、USDe保有者に分配される。

強気相場では年率20〜30%に達したケースも報告されており、国債型の5〜8%を大幅に上回る収益を提供した。しかしこの高収益はあくまで市場がロング偏重のときに発生するものであり、ファンディングレートがマイナスになると収益がゼロ以下に転落する構造的リスクを抱えている。Ethenaはこのリスクに備えるため、収益の一部を「リザーブファンド」として積み立てている。

USDY(Ondo Finance)

機関投資家向けに設計されたRWA(リアルワールドアセット)型ステーブルコインだ。米国短期国債と銀行預金を裏付けとし、その利回りをトークン保有者に分配する。

大きな特徴はKYC/AML対応が義務付けられている点で、本人確認を経たユーザーのみが保有できる。これによりコンプライアンス要件を持つ機関投資家が参加しやすい構造になっている。ブラックロックのBUIDLと並んで、TradFi(伝統的金融)からDeFiへのブリッジ機能を担う代表例として位置付けられている。

aUSDC(Aave)

AaveにUSDCを預けると自動的に発行されるトークンだ。Aaveの借り手がUSDCを借りる際に支払う金利が、リアルタイムでaUSDC保有者に分配される。

収益率は借入需要によってリアルタイムで変動し、市場の動きが直接利回りに反映される。構造がシンプルで仕組みの透明性が高く、最も広く利用されている利回り型ステーブルコインの一つだ。ただし、AaveのスマートコントラクトリスクとUSDCのカストディリスク(発行元Circleのリスク)を両方抱える点は理解しておく必要がある。

BUIDL(BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund)

2024年3月にブラックロックがEthereum上で展開した機関向けトークン化ファンドだ。ファンドの資産はT-ビル・現金・レポ協定で運用され、収益は月次でBUIDL保有者に配当される。最低投資額は500万ドルと設定されており、リテール向けではない。

このプロジェクトが持つ意味は収益率よりも象徴性にある。世界最大の資産運用会社がオンチェーンでファンドを展開したことで、「利回り型ステーブルコインは機関が使う正式な金融インフラになり得る」という認識がTradFi業界に広まった。


問題点とリスク:収益の裏側にある構造的弱点

TerraUSTが示した「収益の原資なき利回り」の末路

2022年5月に崩壊したTerraのUSTは、Anchorプロトコルが約20%の年率を保証していた。この収益の原資は本質的に存在しなかった。新規参入者のUSTがAnchorに流入し、そのドルを既存保有者への利息支払いに充てるという、ポンジに近い循環構造だった。

崩壊は急速だった。USTの信用が揺らぐと、担保のLUNAトークンが大量発行されてインフレし、LUNAの価値下落がさらにUSTの信用を毀損するという死のスパイラルが発生した。数日で約400億ドル相当の価値が消滅し、多数の個人投資家が壊滅的な損失を被った。

現在の国債型・デリバティブ型はUSTとは収益源の構造が根本的に異なる。しかし、「高利回りステーブルコイン」という括りで記憶されているため、新しいプロジェクトが過剰なリスクを取っている場合でも警戒感が薄れやすい。任意のステーブルコインが「なぜその利回りを支払えるのか」を説明できない場合、USTの再来である可能性を疑うべきだ。

デリバティブ型固有のリスク:ファンディングレートの逆転

USDe(Ethena)のモデルは強気相場では機能するが、相場が転換したときに収益構造が崩れる。

ファンディングレートがマイナスになる状況、つまりショートが過剰になって逆にショート側が手数料を支払う局面では、USDe保有者への収益がゼロになるだけでなく、担保が目減りする。さらに、大規模な価格下落時には取引所のシステム障害や流動性枯渇によって、ショートポジションのクローズに支障が出る可能性もある。

Ethenaが設けているリザーブファンドはある程度のバッファになるが、長期にわたってファンディングレートがマイナスの状態が続いた場合、その保護機能には限界がある。

国債型のリスク:金利・カストディ・オラクルの三重構造

国債担保型は最もリスクが低いと見られがちだが、以下の3つのリスクが存在する。

金利変動リスク:FRBが利下げに転じると、T-ビルの利回りが急低下する。5%だった年率が1%台に下がることは十分あり得る。その場合、競合する金融商品と比較して競争力を失い、資産の流出が加速する可能性がある。

カストディリスク:国債を実際に保管するのは通常の金融機関だ。2023年3月のシリコンバレーバンク(SVB)破綻の際、Circle(USDC発行元)がSVBに33億ドルを預けていたことが判明し、USDCが一時0.87ドル付近まで下落した。RWA型ステーブルコインで同様の事態が起きた場合、担保の毀損がデペッグに直結する。

オラクルリスク:オフチェーンの国債価格・利回りをオンチェーンに伝えるオラクルが操作または誤動作すると、担保評価が歪み、ペッグが崩れる。Chainlinkなどの分散型オラクルが使われているケースが多いが、単一障害点がゼロではない。

規制リスク:有価証券認定の可能性

米国では現在、ステーブルコイン規制法案(GENIUS法)の議会審議が進んでいる。同法案では利回り型ステーブルコインを「証券」として分類する条項が含まれており、もし証券と認定された場合は発行・販売にSECへの登録が必要になる。これは実質的に現行のDeFiモデルでは対応が困難な要件だ。

欧州のMiCA(暗号資産市場規制)では「電子マネートークン(EMT)」として分類され、発行体への自己資本要件・流動性規制が課される。これをクリアできる発行体は限られるため、欧州市場では参入障壁が高くなっている。

日本では2023年の資金決済法改正によってステーブルコイン発行体の登録制度が整備されたが、利回り付きのステーブルコインについての明確な法的整理はまだ行われていない。金融庁は個別の法解釈で対応している段階にあり、グレーゾーンが残っている。

スマートコントラクトリスク

すべてのDeFiプロトコルに共通するリスクだが、利回り型ステーブルコインは複数のプロトコルを組み合わせた構成になりやすいため、攻撃対象となる「アタックサーフェス」が広い。コードの監査を受けていても、想定外の組み合わせを使った攻撃(フラッシュローン攻撃など)により資金が流出した事例がDeFi全体では多数発生している。


今後どうなるか:市場拡大・規制・AIエコノミーとの接続

金利低下局面での競争激化と収益モデルの分岐

FRBの利下げサイクルが進むにつれ、国債担保型の収益率は低下する。年率5%が標準だったものが1〜2%台に下がると、「保有するだけで収益」という魅力が薄れ、ユーザーが高収益を求めてデリバティブ型や複合型に移動する流れが起きる。

これはリスクの集中を意味する。低金利環境でも高い利回りを提供しようとすれば、それだけ高いリスクを取らなければならない。利回り型ステーブルコインの市場が成熟するにつれ、「安全・低収益型」と「高リスク・高収益型」の二極分化が進み、ユーザーは自分のリスク許容度に応じてプロダクトを選ぶ時代になる。

TradFiとの融合:RWA市場の主役になる可能性

BlackRock BUIDLの展開以降、Franklin Templeton・Fidelity・JPMorgan(Onyx)など大手金融機関のオンチェーンファンド展開が相次いでいる。これらのプロジェクトはいずれも「T-ビル収益を持ち運び可能なトークンとして分配する」という利回り型ステーブルコインの基本設計を採用している。

BCGとADDXの試算では、RWA市場は2030年に16兆ドル規模に達する可能性があるとされている。その中でステーブルコイン形式の国債トークンは主要な資産クラスになると予想されており、現在のDeFiコミュニティ向けから機関・リテール双方をカバーする金融インフラへと進化していく見通しだ。

規制の国際分断とライセンス管轄の最適化

米国・EU・シンガポール・日本・UAE・スイスがそれぞれ独自の規制枠組みを整備しており、利回り型ステーブルコインへの規制アプローチは管轄によって大きく異なる。

規制に比較的友好的なシンガポール(MAS)、UAE(ADGM・DIFC)、スイス(FINMA)に発行体が集中する可能性がある。Ondo FinanceやEthenaがシンガポールを拠点の一つとして選んでいるのも、こうした規制環境の差異を踏まえた戦略だ。

一方、米国でGENIUS法が成立した場合、利回り型ステーブルコインを証券として扱うか支払い手段として扱うかで業界の構造が大きく変わる。証券認定されれば既存プロジェクトの多くが事業モデルを変更せざるを得なくなり、市場の再編が起きる。

AIエージェントの決済通貨としての需要

自律的に行動するAIエージェントが経済活動(APIの利用料支払い、マイクロサービスの購入、データ取引)を行うユースケースが現実のものになりつつある。AIエージェントが資産を保有する場合、「価格が安定していて」「保有しながら収益を得られて」「プログラムで操作できる」通貨が必要とされる。

利回り型ステーブルコインはこの要件に技術的に適合している。スマートコントラクトを通じてAIエージェントが自律的に資産運用・決済・利回り再投資を行う仕組みが実装可能だからだ。Fetch.ai・Autonolas・ElizaOSなどのAIエージェントフレームワークとの統合が研究されており、AIエコノミーの基軸通貨としての需要が2025年以降に具体化しつつある。

ステーキング収益との複合型が増加する

ETHのリステーキング(EigenLayer)が普及することで、「ステーキング収益+ファンディングレート+レンディング金利」を組み合わせた複合利回り型ステーブルコインの設計が可能になった。収益源を分散させることでどれか一つが低下しても全体の利回りが維持しやすくなる一方、複雑性が増すことでリスクの所在が不明確になるという課題もある。

このトレードオフをどう設計するかが、次世代の利回り型ステーブルコインの競争軸になっていく。


関連用語

ステーブルコイン 価格を法定通貨や他の資産に連動させたトークン。USDC・USDT・DAIが代表例。利回り型ステーブルコインはこれに収益分配機能を加えた進化版として位置付けられる。

リキッドステーキング ETHなどをPoSネットワークにステークしながら、同時にstETH等の流動性トークンを受け取り、DeFiで運用し続けられる仕組み。LidoやRocketPoolが代表的なプロジェクト。利回り型ステーブルコインの収益源の一つとして機能する。

RWA(リアルワールドアセット) 国債・不動産・株式など現実世界の資産をブロックチェーン上にトークン化したもの。国債担保型ステーブルコインはRWAの中で最も実用化が進んでいる領域だ。

AMM(自動マーケットメイカー) 流動性プールと数式で価格を決定するDEXの仕組み。Curveなどで利回り型ステーブルコインが主要な流動性プールを形成しており、DeFiの取引インフラとして機能している。

イールドファーミング DeFiプロトコルに流動性を提供することで収益を得る行為。利回り型ステーブルコインはこの行為を「保有するだけ」という形に簡素化したものとも言える。

ファンディングレート 無期限先物のポジション調整コスト。強気相場ではロング側がショート側に支払う手数料が発生し、これがEthenaのUSDe収益の原資になる。

デペッグ ステーブルコインの価格がペッグ対象(通常1ドル)から乖離する現象。USTの崩壊・USDCのSVB危機時の一時的下落が代表例。利回り型ステーブルコインにおける最大リスク指標の一つ。

オラクル オフチェーンのデータ(国債価格・為替レート等)をブロックチェーン上のスマートコントラクトに伝えるシステム。Chainlinkが代表的。国債担保型ステーブルコインの価値評価に不可欠で、同時に攻撃対象にもなり得る。

EigenLayer(リステーキング) ETHのステーキングセキュリティを他のプロトコルにも提供する仕組み。利回り型ステーブルコインの収益源を多様化する次世代インフラとして注目されている。

GENIUS法(Guiding and Establishing National Innovation for US Stablecoins Act) 米国議会で審議中のステーブルコイン規制法案。利回り型ステーブルコインを証券として分類する可能性があり、業界に対する規制の方向性を決定づける可能性がある。

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この記事を書いた人

海外のクリプト市場と制度設計の変化を観測し、価格ではなく信用構造と国家パワーの変数から長期トレンドを分析している。短期ニュースや投機的視点には依存せず、通貨構造の変化を軸に情報を整理している。空の崖から長期構造を観測する視点でスカイクリフドゥエラーを運営。

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